今回はコンクリート造の建物で無線LANの電波が届かないという事例の改善についてご紹介します。木造と違い、コンクリート・鉄筋は電波を大きく遮断するため、一般的な対策が通用しないケースが多くあります。
目次
- 状況:コンクリート造で電波が届かない
- まず試したこと:無線LANルーターの新機種への交換
- 2階への電波延伸:木造・鉄筋コンクリートそれぞれの対策
- 今回の選択:PLCアダプター+無線LANアクセスポイント内蔵型
- 設定手順と結果
- コンクリート造の無線LAN対策まとめ
状況:コンクリート造で電波が届かない
お客様は鉄筋コンクリート造の2階建て住宅にお住まいで、Buffaloのハイパワータイプの無線LANルーターをお使いでした。しかし1階でも一部の部屋では電波が届かず、2階はほぼ全滅という状態でした。
コンクリート・鉄筋は電磁波を吸収・反射するため、無線LAN(2.4GHz・5GHz帯)の電波を大きく減衰させます。木造であれば中継機や天井裏のLAN配線で解決できることが多いですが、コンクリート造ではそう簡単にはいきません。
※電波状況の測定アプリ(Wi-Fi Analyzer等)でビジュアル化すると、お客様にも状況が伝わりやすいです。
まず試したこと:無線LANルーターの新機種への交換
ご使用中のルーターが7年ほど前の機種だったため、まず最新の高性能ルーターへ交換しました。選定したのはBuffaloのWXR-2533DHP2です。
- Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)対応
- 2.4GHz+5GHzのデュアルバンド
- ビームフォーミング対応で指向性を強化
- 最大転送速度:5GHz帯で1733Mbps
この交換により、1階の電波状況は大幅に改善し、全部屋で受信可能になりました。
2階への電波延伸:状況別の対策比較
木造か鉄筋コンクリートかで取れる対策が大きく変わります。
| 対策方法 | 木造 | 鉄筋コンクリート | 費用感 |
|---|---|---|---|
| LANケーブル配線(天井裏) | ◎ | ×(天井裏アクセス不可が多い) | 工事費含め3〜5万円 |
| 無線LAN中継機 | ◎ | △(コンクリートを超えられない) | 5,000〜15,000円 |
| アンテナ線利用(MoCA) | ◎ | △(ケーブルTV環境では周波数が干渉する場合あり) | 10,000〜20,000円 |
| PLCアダプター | ◎ | ◎(コンセント配線を利用) | 10,000〜20,000円 |
| メッシュWi-Fiシステム | ◎ | △〜◎(機種・設置場所による) | 20,000〜50,000円 |
今回のお客様はケーブルテレビのインターネット契約でした。テレビのアンテナ線を利用したMoCA方式は、ケーブルテレビの通信帯域と干渉するため使用不可。無線LAN中継機はコンクリートの壁を越えられないため効果薄。PLCアダプター方式が最適解と判断しました。
今回の選択:PLCアダプター+無線LANアクセスポイント内蔵型
PLC(Power Line Communication)とは、家庭内の電力線(コンセント配線)を使ってデータ通信を行う技術です。コンクリート造でも建物全体に張り巡らされた電力線を通じて、コンセントからコンセントへ通信できます。
今回選定した機種の特徴:
- 受信機側に無線LANアクセスポイントを内蔵
- Wifiエクステンド機能:1階の無線LANルーターのSSID・パスワードをそのまま複製するため、2階でも同じWi-Fi名で接続可能
- デバイス側の再設定が不要で、階をまたいで自動的に最適なアクセスポイントへ接続
設定手順と結果
接続手順
- 1階のルーターのLANポートにPLC親機を接続
- 親機を1階のコンセントに挿入
- 2階のコンセントにPLC子機(AP内蔵)を挿入
- 親機・子機のペアリングボタンを押して接続確立
- Wifiエクステンド機能で1階のSSID・パスワードをクローン設定

cof

設置の様子
速度測定結果
| 場所・接続方法 | 結果 | 備考 |
|---|---|---|
| 2階・PLC経由Wi-Fi | 40Mbps以上(リンク速度) | 実測値。ケーブルTV契約の最大160Mbpsに対し十分な速度 |
| PLCリンクランプ | 赤色点灯 | 赤=40Mbps以上。動画・Web閲覧に支障なし |
PLCのリンクランプが赤色なのを気にされるかもしれませんが、赤=40Mbps以上の通信品質を示しており、動画視聴・Web閲覧・テレビ会議などの一般的な用途には十分な速度です。
コンクリート造の無線LAN対策まとめ
コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物での無線LAN問題は、一般的な中継機や中継設定では解決できないケースが多くあります。
- まずルーターを最新機種(Wi-Fi 6以上推奨)へ交換
- PLCアダプターでコンセント経由の有線品質を確保
- 予算があればメッシュWi-Fiシステム(複数台)を検討
- リフォームのタイミングでLANケーブルの埋設配線を検討
ご自宅の構造や契約回線によって最適な方法は異なります。
