コンクリート造で無線LANが届かないお悩みを改善

※この記事は2018年に公開した過去記事を元に、2026年現在の機器・状況に合わせて情報を加筆・リライトしたものです。

今回はコンクリート造の建物で無線LANの電波が届かないという事例の改善についてご紹介します。木造と違い、コンクリート・鉄筋は電波を大きく遮断するため、一般的な対策が通用しないケースが多くあります。

目次

目次

  1. 状況:コンクリート造で電波が届かない
  2. まず試したこと:無線LANルーターの新機種への交換
  3. 2階への電波延伸:木造・鉄筋コンクリートそれぞれの対策
  4. 今回の選択:PLCアダプター+無線LANアクセスポイント内蔵型
  5. 設定手順と結果
  6. コンクリート造の無線LAN対策まとめ

状況:コンクリート造で電波が届かない

お客様は鉄筋コンクリート造の2階建て住宅にお住まいで、Buffaloのハイパワータイプの無線LANルーターをお使いでした。しかし1階でも一部の部屋では電波が届かず、2階はほぼ全滅という状態でした。

コンクリート・鉄筋は電磁波を吸収・反射するため、無線LAN(2.4GHz・5GHz帯)の電波を大きく減衰させます。木造であれば中継機や天井裏のLAN配線で解決できることが多いですが、コンクリート造ではそう簡単にはいきません。

※電波状況の測定アプリ(Wi-Fi Analyzer等)でビジュアル化すると、お客様にも状況が伝わりやすいです。

まず試したこと:無線LANルーターの新機種への交換

ご使用中のルーターが7年ほど前の機種だったため、まず最新の高性能ルーターへ交換しました。選定したのはBuffaloのWXR-2533DHP2です。

  • Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)対応
  • 2.4GHz+5GHzのデュアルバンド
  • ビームフォーミング対応で指向性を強化
  • 最大転送速度:5GHz帯で1733Mbps

この交換により、1階の電波状況は大幅に改善し、全部屋で受信可能になりました。

2階への電波延伸:状況別の対策比較

木造か鉄筋コンクリートかで取れる対策が大きく変わります。

対策方法 木造 鉄筋コンクリート 費用感
LANケーブル配線(天井裏) ×(天井裏アクセス不可が多い) 工事費含め3〜5万円
無線LAN中継機 △(コンクリートを超えられない) 5,000〜15,000円
アンテナ線利用(MoCA) △(ケーブルTV環境では周波数が干渉する場合あり) 10,000〜20,000円
PLCアダプター ◎(コンセント配線を利用) 10,000〜20,000円
メッシュWi-Fiシステム △〜◎(機種・設置場所による) 20,000〜50,000円

今回のお客様はケーブルテレビのインターネット契約でした。テレビのアンテナ線を利用したMoCA方式は、ケーブルテレビの通信帯域と干渉するため使用不可。無線LAN中継機はコンクリートの壁を越えられないため効果薄。PLCアダプター方式が最適解と判断しました。

今回の選択:PLCアダプター+無線LANアクセスポイント内蔵型

PLC(Power Line Communication)とは、家庭内の電力線(コンセント配線)を使ってデータ通信を行う技術です。コンクリート造でも建物全体に張り巡らされた電力線を通じて、コンセントからコンセントへ通信できます。

今回選定した機種の特徴:

  • 受信機側に無線LANアクセスポイントを内蔵
  • Wifiエクステンド機能:1階の無線LANルーターのSSID・パスワードをそのまま複製するため、2階でも同じWi-Fi名で接続可能
  • デバイス側の再設定が不要で、階をまたいで自動的に最適なアクセスポイントへ接続

設定手順と結果

接続手順

  1. 1階のルーターのLANポートにPLC親機を接続
  2. 親機を1階のコンセントに挿入
  3. 2階のコンセントにPLC子機(AP内蔵)を挿入
  4. 親機・子機のペアリングボタンを押して接続確立
  5. Wifiエクステンド機能で1階のSSID・パスワードをクローン設定

cof

設置の様子

速度測定結果

場所・接続方法 結果 備考
2階・PLC経由Wi-Fi 40Mbps以上(リンク速度) 実測値。ケーブルTV契約の最大160Mbpsに対し十分な速度
PLCリンクランプ 赤色点灯 赤=40Mbps以上。動画・Web閲覧に支障なし

PLCのリンクランプが赤色なのを気にされるかもしれませんが、赤=40Mbps以上の通信品質を示しており、動画視聴・Web閲覧・テレビ会議などの一般的な用途には十分な速度です。

コンクリート造の無線LAN対策まとめ

コンクリート造・鉄筋コンクリート造の建物での無線LAN問題は、一般的な中継機や中継設定では解決できないケースが多くあります。

対策の優先順位(コンクリート造):

  1. まずルーターを最新機種(Wi-Fi 6以上推奨)へ交換
  2. PLCアダプターでコンセント経由の有線品質を確保
  3. 予算があればメッシュWi-Fiシステム(複数台)を検討
  4. リフォームのタイミングでLANケーブルの埋設配線を検討

ご自宅の構造や契約回線によって最適な方法は異なります。

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この記事を書いた人

1991年、親に購入してもらったPC-9801DX2と、説明書に記載されていたN88-BASICのトランプのサンプルコードをきっかけにITの世界へ入る。1996年にはLinux環境下でNetscapeを用いたインターネット接続を経験し、HTMLに関心を広げ、初めてのWebサイトを作成。MS-DOSからWindows、Mac、Linuxまで、OSの変遷とともに現場経験を蓄積し、2001年にPCサポート事業を創業。以来25年以上にわたり、地域企業のITインフラを支えている。

現在は、PC・ネットワーク・サーバーなどのITインフラ構築に加え、電気工事士として電気回路の設計・施工、空調工事まで幅広く対応。ソフト・ハードの論理的な課題解決から、配線・電源・空調といった物理的インフラ整備までを一貫して担う。

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