RAID0(ストライピング)で、HDD一台物理障害

※この記事は過去の事例をもとに、情報を現在の状況に合わせて加筆・リライトしたものです。

今回は国立大学研究室のPCで発生したRAID 0構成・HDD1台物理障害からの全データ復旧事例をご紹介します。RAID 0はデータ復旧難易度が最も高い構成の一つですが、今回は全データの復旧に成功しました。

目次

目次

  1. RAID 0とは何か:高速だが最もリスクの高い構成
  2. 状況:研究室PCで突然のアクセス不能
  3. 診断:HDD 1台に物理障害
  4. 復旧作業の流れ
  5. 結果:全データ復旧成功・PC本体修理も完了
  6. RAID 0運用時の注意点

RAID 0とは何か:高速だが最もリスクの高い構成

RAID(Redundant Array of Independent Disks)とは複数のHDDを組み合わせて運用する技術です。RAID 0(ストライピング)は、データを複数のHDDに分散して書き込むことで読み書き速度を大幅に向上させる構成です。

RAID種別 特徴 冗長性 主な用途
RAID 0 高速・全容量使用可能 なし(1台故障で全滅) 動画編集・高速処理
RAID 1 ミラーリング ◎ 1台故障まで耐えられる 重要データの保護
RAID 5 パリティ付き分散書込 ○ 1台故障まで耐えられる 業務用サーバー
RAID 6 パリティ2重化 ◎ 2台故障まで耐えられる 高信頼業務サーバー

RAID 0の最大の弱点は冗長性がゼロであることです。1台でも物理障害が発生した瞬間にすべてのデータにアクセス不能になります。しかもデータが複数台に分散されているため、通常の単体HDD障害よりも復旧難易度が格段に上がります。

状況:研究室PCで突然のアクセス不能

国立大学の研究室で使用していたデスクトップPCが突然起動しなくなり、内蔵の研究データにアクセス不能となりました。内蔵HDD 2台でRAID 0が組まれていました。研究室PCにRAID 0が使われるのは、大容量の実験・動画データを高速に扱う必要があるためです。

診断:HDD 1台に物理障害

2台のHDDを単体で診断したところ、1台に物理障害が確認されました。異音・認識不良の症状があり、スピンドルモーターおよびヘッド系統に問題が生じていました。

RAID 0ではデータが細かく分割されて交互に書き込まれているため、物理障害のあるHDDのデータが欠けると論理的には全データが失われた状態になります。

復旧作業の流れ

  1. 障害HDDのイメージ取得:読み取れるセクタのデータを最大限吸い出し、作業用ディスクイメージとして保存
  2. 正常HDDのイメージ取得:正常な1台もイメージとして保存(二次障害防止)
  3. RAIDパラメータ解析:ストライプサイズ・ディスク順序・開始オフセットを解析し、仮想的にRAID 0アレイを再構成
  4. 論理復旧:再構成したアレイからファイルシステムを解析し、ファイル・フォルダ構造を復元
  5. データ検証:復旧データのファイル数・容量・内容を確認

結果:全データ復旧成功・PC本体修理も完了

RAID 0・HDD 1台物理障害という高難度の条件でしたが、全データの復旧に成功しました。PC本体の修理(HDD交換・OS再セットアップ・RAID再構成)も実施し、復旧データを戻して納品しました。

RAID 0運用時の注意点

⚠️ RAID 0はバックアップの代替にはなりません

  • RAID 0は速度向上の技術であり、データ保護の機能はゼロです
  • 台数が増えるほど、どれか1台が壊れる確率は上がります
  • RAID 0を使う場合は、外付けHDD・NAS・クラウドへの定期バックアップが必須
  • 研究データ・業務データなど代替不能なデータにはRAID 1以上の冗長構成を推奨します
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この記事を書いた人

1991年、親に購入してもらったPC-9801DX2と、説明書に記載されていたN88-BASICのトランプのサンプルコードをきっかけにITの世界へ入る。1996年にはLinux環境下でNetscapeを用いたインターネット接続を経験し、HTMLに関心を広げ、初めてのWebサイトを作成。MS-DOSからWindows、Mac、Linuxまで、OSの変遷とともに現場経験を蓄積し、2001年にPCサポート事業を創業。以来25年以上にわたり、地域企業のITインフラを支えている。

現在は、PC・ネットワーク・サーバーなどのITインフラ構築に加え、電気工事士として電気回路の設計・施工、空調工事まで幅広く対応。ソフト・ハードの論理的な課題解決から、配線・電源・空調といった物理的インフラ整備までを一貫して担う。

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